ゲオルクの日記

多分三日くらいで潰れる

自分を曲げないということ

 これは僕が先日本屋の児童書コーナーを物色していた時のことです。

 ちなみに成人男性が一人で児童書コーナーをうろついていると怪しく見えるので、「親戚の子にプレゼントする本を探しています」という顔をするのがコツです。

 同じメソッドはヨドバシのソフビコーナーとかでも使えます。試してみてくださいね。

 

 それはそれとして、一人で児童書コーナーを眺めていたところ、一冊の本を見つけました。

『数は無限の名探偵』という表題のアンソロジー本でした。昨年末に創刊された〈ナゾノベル〉なるシリーズの第一弾らしいです。

 

 

 アンソロジーなので各話は短いです。主人公は大抵小学生か中学生で、身の回りで起こった事件を数学に絡めて解決するというのが大まかなストーリーです。

 探偵ものなので、それぞれの話に探偵役が出てきます。大抵は主人公の同級生とか、同年代の子供で、数字に強い子供が探偵役を担うパターンが多いです。

 しかし1編だけ毛色の違う話があります。井上真偽「引きこもり姉ちゃんのアルゴリズム推理」です。タイトルから分かる通り引きこもりの姉が探偵役です。作中の描写によれば高校生くらいの年齢となっています。部屋はゴミ屋敷になっており、滅多に風呂に入らず、対人スキルに難を抱える、という設定です。風呂に入っていないから臭い、という描写が繰り返し出てきます。極め付けは、ビデオ通話で話す時には専用のアバターを使う(Vtuber的な)という設定まであります。

 こんなことしていいのか???

 最近の児童書ってこうなのか???

 僕が子供の頃読んでた児童書ってこんな風呂に入ってない引きこもりの姉キャラとか出てこなかった気がするんですよね。ていうか今だって無いだろ。だって他の話にこんなキャラ出てこないもん。これを読んだキッズの性的嗜好が狂ったら井上真偽と朝日出版は責任を取れるのか?

 多分対象年齢的に小学校の中〜高学年くらいで読む本だと思うんですけど。この時期に形成された性癖っていまだに*1精神の基礎みたいなところに染み付いてるからね。(それとも僕だけでしょうか。皆さんはいかがですか?)

 

 しかし僕はこれを読んで大切なことを学びました。それは「自分を曲げない」ことです。

 井上真偽のデビュー作『恋と禁忌の述語論理』では、ヒロインは主人公の叔母でした。

 叔母!?

 そんなことある?

 いや確かに最近のスパイダーマンの映画だとメイおばさんもだいぶ若くなってたけどさ。

 叔母だぜ???

 しかしながら、そこが重要なのです。

 いかに子供に向けて書いた本だからと言って、自分を曲げる必要はない。むしろこの「引きこもり姉ちゃんのアルゴリズム推理」からは、これを読んだ小学生の精神を自分の性癖で染め上げてやろうという邪悪な魂胆さえ垣間見えます。そしてテキストの裏に隠されているのは「姉いいよね……」「年上の女性いいよね……」というメッセージなのです。それはデビュー作から一貫しているとも言えます。

 初志貫徹。言うは易し、でしょう。だが、果たして純真無垢な子供を目の前にしたとき、本当に「自分」を貫くことは出来るのか。

 この短編は、そんなことを問いかけてきているようにも思えました。

 

 ところでここまで読んだ人は大体察しているかもしれませんが僕は一人っ子です。

 今から姉できねえかな。

 できれば26〜9歳くらいがいいな。

 何とかなりませんか?

 ならねえか。

 全員くたばれ。

 じゃあな。 

*1:筆者は現在23歳です。